過食症・拒食症などの摂食障害克服のために ③
ということで、まず現在の気持ちを大切していくのですが、現在の気持ちは
過去の様々な体験や出来事から繋がってきています。
ここで、次に大事にしていくのは、過去に何があって、どのように感じてどう
考えどういう態度・言動や行動をとって来たのかということです。
そうして、どういう気持ちがいちばん強く残っているのかということです。
現在のマイナスの気持ちを軽減していくためには、過去の問題の整理や受容
そして癒しがとても大切になってきます。
対人関係療法のみでカウンセリングしていく場合には、じっくりとお話を
伺い、出来事・気持ち・行動を整理していくことになります。 ただ、それだけ
で充分な場合はいいのですが、深い心の傷を負っている場合には深い癒しが
必要になります。そのような場合には催眠療法をお薦めしています。
特に催眠療法が必要なケースは過去に大きな出来事があってトラウマになって
いるようなケースが多いのですが、必ずしもそうではなくても、現在の自己否定
感が強くて自分を受け容れることができない場合にもとても有効です。
摂食障害を克服していく上で重要なところは、自己を再構築していくことです。
現在は、もっていき場のないモヤモヤやイライラの気持ちを抱えていてどうにも
できずに摂食障害に繋がってしまっているのですが、摂食障害の克服のためには
心のバランスを整えていく必要があります。
そのためには、まず自己受容がとても大切です。 自分を好きになるということです。
自分を好きになっていくには、まず過去の癒しがとても大切です。そこは催眠療法
がとても得意とするところです。過去が癒されると自分を受け容れられるように
なっていきます。
自分を受け容れて好きなっていき、さあ、それでどんな自分になっていけばいいのか
ということが見えてきます。新しい自分、なりたい自分です。摂食障害を克服
できている自分です。ここではじめて目標設定ができるわけです。
自己受容そして新たになりたい自分の目標設定ができて、やっと本格的な対人関係
療法に入っていくことができます。
対人関係療法の骨格となるところは、コミュニケーションを中心としたソーシャル
スキルの改善です。どのようなコミュニケーションをとっていけば、もっていき
場のないモヤモヤやイライラの気持ちを軽減していけるのか? ということです。
ここからは、直近の実際にあった情動が揺り動かされたようなコミュニケーション
の実例を具体的に取り上げて検討していくことになります。
よくある好ましくないコミュニケーションのパターンとしては、
・あいまいで間接的な非言語コミュニケーション
・不必要に間接的な言語的コミュニケーション
・自分の言いたいことは伝わったという思い込み
・自分が理解したという思い込み
・沈黙
があげられます。実際の会話を再現してもらって、ちゃんと気持ちを伝えるべき
ではないのか、別の表現方法はなかったのか、別の考え方ができなかったのか
など一緒にコミュニケーションのあり方を検討していきます。
そして、最終的に合意できた方法で実際にコミュニケーション方法の改善を図って
いってもらいます。実際に改善したものがあればフィードバックしてもらい、また
別の気持ちが大きく動くような出来事があればまた同じように取りあげて検討して
いくことになります。
このように検討しながらソーシャルスキルを上げていって、本人に自信がつき
摂食障害の改善の目途を立ってきたところで双方の合意の上でカウンセリング
は終結を迎えることになります。