身体の声を聴くフォーカシングの具体的なやり方 (対人関係療法などのカウンセリングで)
先日は、フォーカシングのフェルトセンスについて触れましたが、
今日は具体的なフォーカシングの手法についてご紹介していきたいと思います。
少し復習しておくと、フォーカシングは、
「今日は気がのらない」「言葉に胸がつまる」など、感情とも気持ちとも
身体状態とも言い難いような『感じ』、誰の中にもある『感じ』・・・。
その『感じ』をフォーカシング用語ではフェルトセンスと呼んでそこに
フォーカスしていきます。
最初に感じられるものが否定的なものでも肯定的なものでも、フォーカ
シングではその『感じ』の言い分を充分に聞いて、ごく親しい友人のように
寄り添ってみます。
ということでしたが、
さて、それでは具体的には、どうなのでしょうか?
まず、ひとりでするものなのか?
ということですが
フォーカシングは、ひとりでも行うことができます。
フェルトセンスとどう対話するかの道筋を追えば、ひとりで行うことは可能です。
ただ、最初はガイド役に誘導してもらった方がより感じが掴めるかとは思います。
まずは、簡単な流れだけご紹介しておきます。
①体に質問する。
②フェルトセンスにあいさつする
③フェルトセンスと一緒にいてあげる
④名前をつける
⑤感謝する
⑥繰り返す
といった流れでやっていきます。
具体的にはこのようになります。
まず、
自分の体に、悩みが体の中にあるとすればどこだろう?
と聞いて、その声に応えることで癒していきます。
①体に質問する。
「今、一番私と話したがっている、体の部分はどこかな?...喉かな?
...胸かな?...みぞおちのあたり?...下腹?」
というように、一呼吸ごとにこの順番に、体の感覚を探っていきます。
そうすると、気になる部分がでてきます。
例えば、胸が苦しい、痛い、重い、とか、おなかが重い、痛い、締め付けられるなど、
体に何か違和感やどうしても気になる感じがでてきます。
その感じが「フェルトセンス」です。
②フェルトセンスにあいさつする
今度は、その違和感を感じたところに、あいさつします。
手でやさしく、そこを押さえながら、その感覚にそっと近づくような気持ちで
(おなかの子をいたわるような感じで)微笑みながらこういいます。
「こんにちは、あなたがそこにいるってことは、ちゃんと分かっているよ。
そのままでいいんだよ、大丈夫だよ。」
そして、フェルトセンスの反応を感じます。
そうすると何か、言葉のようなものが伝わってくるかもしれませんし、
テレパシーのような、あるいは心の声のような感じで何か感じるかもしれません。
その言葉や、感情を受け止めます。
③フェルトセンスと一緒にいてあげる
今感じているその感覚にもっと近づいていってあげます。そして、仲のいい友達と
並んで腰掛けているように、やさしさと好奇心をもって、隣にいてあげてください。
あるいは、泣いている赤ちゃんをあやすように、やさしい気持ちで抱きしめてあげてください。
そして、その感覚にやさしく微笑みかけてあげましょう。
④名前をつける
フェルトセンスに、自分が感じている感覚を伝えて確認します。
「おなかが重苦しいって感じがするんだけど、その感じでぴったりかな?」
すると、フェルトセンスが、「そうだ」とか「ちょっと違う」など、答えてくれま
あるいはぴったりな気がするとか、何か違うなとか感じますから、その感じを受け止めてください。
そして、しっくりくるまで、その言葉をみつけてください。
今度は、名前をつけてあげましょう。
たとえば、重苦しいから二文字とって「おもちゃん」とか、「おもくん」とかかわいらしい名前を
つけてあげます。
そして、その感覚に聞きます。
「~ちゃんって呼んでもいいかな?」
その名前で呼んでも嫌がっていなければ、手をやさしくあてながら、
「~ちゃん、大丈夫だよ、そばにいるよ」
と寄り添うようにしてあげます。
⑤感謝する
その感覚に向かってこういってあげましょう。
「ありがとう。いつもあなたのことを大切に思ってるよ。」
感謝して、セラピーを終えます。
⑥繰り返す
もし、次、また嫌なことがあったり、思い出したりして、その感覚がでてきたらこういいます。
「~ちゃん大丈夫だよ...。大丈夫だよ...。」
すると、その感覚が暴れなくなって、心が落ち着いてきます。
これで終了です。
何か文字で見るだけだと、ふーん、それで???
と思うかもしれませんが、まずは実際にやってみてください。静かな場所で
リラックスしてやってみることがよいでしょう。