摂食障害(過食嘔吐・過食症・拒食症)の事例
摂食障害(過食嘔吐・過食症・拒食症)の事例
摂食障害の克服とは
摂食障害は必ず克服できる病気です。ただ、完璧に治そうとは思わないでください。
まずは、自分の対人関係ストレスを改善していくことを主体的に考えてください。
そうすれば自然に摂食障害は改善へと向かっていきます。
ただ、自分に対人関係ストレスがあることに気づいていない人も多くいます。まず、自分自身を振り返ってみてください。何が摂食障害のエネルギーになっているのか?
ここでは、摂食障害を対人関係療法を主体にして克服していく事例を紹介していきます。
あなた自身を振り返る上で、お役に立てれば幸いです。
事例1 過食症のケース
プロフィール
C子さん 年齢23歳 会社員 東京都在住
C子さんは、止めたいと思いながらも止められない過食嘔吐に苦しんでいました。頻度はほぼ毎日。最初に始まったのは中学3年生ぐらいで、初めは過食のみで嘔吐はなかったのですが、高校生なってから吐き始め、最初はやったりやらなかったりと不定期なものでしたが、高校3年ぐらいから回数が増え、21歳ぐらいからほぼ毎日のように過食嘔吐を繰り返すようになってしまいました。
摂食障害発症の要因
C子さんは、性格的には素直でとても優しい性格です。周りからは優等生でもあり、一見社交的な雰囲気もありとてもうまくいっているように見えましたが内面ではとても苦しんでおり、特に高校3年生のころから進学の件もあり、何とも持って行き場のない感情により、それを発散するかのように過食嘔吐を繰り返すようになってしまいました。
対人関係療法での対応
C子さんの場合は、お母さんとの関係が特に問題でした。お母さんが一方的にコントロールするタイプで、それに対して何も言えずにお母さんに従うというのが常でした。 お母さんとの関係だけではなく、友人関係などでもお母さんとのコミュニケーションパターンと似たところが多くありました。
ノーが言えない、自分の本音が言えない、どうしても無理して周りに合わせてしまう。 そこには、嫌われたくない、見捨てられたくないという強い不安な気持ちを抱えていたのでした。
対人関係療法の改善戦略としては、自分の素直な気持ちをまず感じてみるということから始めました。そして、その気持ちどのように周りの人に伝えていけばいいのかということを検討していきます。
そして、方向性が決まれば、具体的な直近のコミュニケーションを取り挙げながら、その時の会話、気持ち、取った行動を分析して、改善のための方法を考え、実践へと移していきます。これらを実践に移すことによってコミュニケーションは改善されていき、今まで抱えていたやり場のない感情は薄れていき、結果として過食嘔吐の回数は少しずつ減少していきました。
事例2 拒食から過食嘔吐へ
プロフィール
B子さん 埼玉県在住20才 大学生
高校2年生のころ拒食症となり一時期病院へ入院して拒食症は治りますが、その後過食嘔吐を繰り返すようになってしまう。現在は過食嘔吐が激しく毎日あり止められない状況。
摂食障害発症の要因
性格は明るく元気で目立つ存在。周りからは気の強い女性と見られていたが、本人は周りによく気を使い他人の目を気にする一面がある。父親がとても厳しく一方的に考えを押しつけたり、暴力的になることもあった。そんな父親に対して恐怖心を抱えており、何も言えず家を飛び出したこともあった。
高校2年の頃、家庭でも夫婦の不和や学校での友人関係がうまくいっていなかった。そのような折、ちょっとしたきっかけでダイエットを始め急激に体重が減少。急遽入院治療することになる。
低体重は回復するが今度は体重の増加に対する恐怖感が日増しに増大し大学に行ってからは過食嘔吐がやめられないようになってしまう。拒食や過食嘔吐を引き起こしている要因は、特に女性との対人関係で、高校の頃から特に顕著になっている。女性との関係で女性がまるで敵かライバルのように感じてしまい友人関係がうまく築けずコントロール不能となる。
周りからは一見強い女性に見えるが、実際はそんなことはなく、それは弱い自分を隠すための強がりでした。 自分を守るための鉄の鎧を身に付けていて決して弱みを見せず本音の付き合いがうまくできずに孤立していきます。同級生や先輩との関係がうまく築けず拒食へと走ることになり、拒食が改善しても対人関係には改善が見られないので、過食嘔吐へと繋がることになってしまいました。
対人関係療法での対応
一見強い女性に見えるがとても弱い一面を抱えており、それを知られる恐怖を抱えていた。女性を敵視あるいはライバル視しており、とても本音のつきあいができず、異性の友人はいるが同性の友人がほとんどいない状況。
まずは、自分がなぜそのように考え行動するようになってしまったのか、過去の出来事や気持ちの動き、そしてそれにともなった行動を整理していく。
そして、現在の対人関係について詳細に検討。女性に対する考えかた、態度、コミュニケーションの方法を見直し実践していく。対人関係の再構築をしていくなかで、偏った女性への考え方や接して方が改善され、それなり率直な自己表現や他の人に支えてもらいながらうまくやっていくというソーシャルスキルを身につけることによって、持って行き場のないモヤモヤとした気持ちは解消されていき過食嘔吐の頻度も減少していくことになりました。
事例3 過食を伴わない拒食症
プロフィール
E子さん 18歳 高校生
ダイエットをきっかけにカロリーコントロールを厳格にするようになり、母親が心配し食べさせようとするが、吐きだしたり言うことは聞かず。35㎏まで急激に体重が減少。体力がなくなり精神的にも不安定になる。
摂食障害発症の要因
初めは高校1年生の時に同級生に「太ってるね」と言われたのがきっかけでダイエットを始める。もともと生真面目な性格であったので厳格なカロリーコントールをして着実に体重を落としていく。体重40㎏を切って身体に異常が出てもやめようとははせず更に体重が減少する。
E子さんは、小さい頃から勉強がよくできて手のかからないよい子で真面目な不安が強くて完璧を目指す執着気質が強くありました。失敗が怖いので真面目に勉強して、人との衝突は避けたいので自分の意見よりも相手の意見を尊重するようなタイプ。
母親は、E子さんはいい子だから大丈夫と思っており、母親の思うようにコントロールしてきました。E子さんは母親の言うことは文句も言わずに素直に何でも聞いて来たのですが、何とも言えないモヤモヤとしたものを常に抱えていました。でも不満があっても何も言えないという状況です。同じことが友人関係でもあり、そのコントロールできない感情をダイエットにぶつけていったという状況でした。
対人関係療法での対応
E子さんは、母親との関係性が如実に出ており同じようなパターンが友人関係でも出ていました。そこでまずは、自分のそのような性格やコミュニケーションのパターンについて十分理解を深めていただきました。それは、生真面目に完璧を目指しがちであること、普通の人よりも不安が強いこと、自分の本当の気持ちをなかなか人に伝えられずに周りに合わせがちであるこ
とや嫌なことを断ることがなかなかできない性格であることなどです。
そして、対人関係も十分にコントロールは可能であるということを理解していただきました。
そして、実際の直近のコミュニケーションパターンを具体的に挙げていただき検討して、適切なコミュニケーションへと改善を図っていきました。
実際に自分の気持ちをちゃんと伝えたり、周りの人に理解してもらえることによって、もやもやした感情は薄らいでいき、周りに協力してもらいながら生活できるようになっていきました。
周りの協力を得られることによって、今までの一人で頑張ってきたパターンは少なくなっていき、気持ちもとても楽になっていくに従って食事のコントロールの必要性も薄らいき体重も少しずつ増加して標準体重に近いところまで戻していくことができました。
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